「あの件、誰が決めるんだっけ」をなくす―権限委譲の進め方

創業期は、社長がすべてを決める経営でも回ります。
しかし売上規模や従業員数が増えてくると、状況把握に時間がかかって判断が遅れる、現場が見えないことで誤った判断を下してしまう、社長と現場の距離が広がり現場の士気が下がる、といった問題が顕在化してきます。
ここで大切なのは、権限委譲を「社長が権限を手放すこと」ではなく「意識して社員に任せていくこと」として捉え直すことです。
進め方としては、
①現状の業務を洗い出す、
②現状の決裁の流れを一覧化する、
③あるべき決裁権限を描く
という順番が有効です。特に③では、「社長に決裁が集中しすぎている」実態が見えてきても、その状態をそのまま追認するのではなく、育成の意味を込めて、あえて下位の役職に決裁権を持たせるように設計し直すことがポイントです。
業務分掌規程・職務分掌規程・決裁権限基準・会議体運営規程という4つの帳票を整えることで、「誰が」「何を」「いくらまでの金額なら」決めるのかが明文化され、社内の「あの件、誰が決めるんだっけ」というやり取りが大きく減ります。
権限を渡すことは、社長の手間を減らすためだけでなく、現場が判断の経験を積み、育っていくための仕組みでもあります。
※拙著『経営の仕組みが、中小企業の成長を加速させる』第5章でも、権限委譲の具体的な進め方を紹介しています